TinkerはJay William Ponder博士によって開発されている分子モデリングパッケージです。1990年頃より開発が始まっているようで、現時点でのソースコードのライン数は134,500、そして、その多くがFortranで書かれています。
分子モデリングソフトウェアの開発を行う場合、多くは、分子力場を使い、エネルギー最小化(EM)やMolecular Dynamics(MD)をプログラミングすることになると思います。EMやMD自体も相当に大変なのですが、その前に入力された構造に分子力場を適用するための多くの前処理が待っています。例えば、Bond,Angle,Torsionエネルギーを計算するためには、それぞれに対応するAtomとBondのリストが必要ですし、Atom Typeの決定もする必要があります。
また、この処理が不適切だと、舟形ベンゼン環(笑)など、とんでもない構造が生成されたりします。
私が学生の時に始めにつまずいたのは、EMやMDではなく、上に書いた前処理でした。そのときに役にたったのが、ケムインフォマティクスで学んだ種々のアルゴリズムとこのTinkerのソースコードだったのです。今になって思うのですが、Tinkerのソースコードは非常に分かりやすく、テクニックを学ぶ上で本当に勉強になったと思います。
さて、ここ最近、Tinkerに触れる機会がなかったのですが、久しぶりにチェックするとFFEとうGUIからTinkerを操作できるそうです。早速、テストしてみることにしました。
1.Tinkerの入手(ライセンスは各自確認してください)。
以下のサイトからInstallation Kit for Linux (53.4Mb)をDOWNLOAD。
http://dasher.wustl.edu/tinker/
2. 解凍
$ gunzip tinker-linux.sh.gz
3. インストール
$ su
# sh tinker-linux.sh
デフォルトでは/opt/tinkerにインストールされます。
4. パスを通す。
/opt/tinkerにパスを通す。
5. 実行
$ ffe
実行例:
1.分子の読み込み
(exampleの分子を使います)
$ cp /opt/tinker/example/dialanine.xyz .
$ ffe
[File]->[Open]->dialanine.xyzを選択。
分子力場はcharmm27を選択。

2.分子表示形式の変更
[Display]->[Tube]
Java3Dを使っているので、結構きれいです。

3. Optimizeの実行
[Modeling Commands]タブを選択。
その左下にあるコマンド選択用のリストボックスから[Optimize]を選択。
その他のパラメータはデフォルトを使用。
リストボックスの左にあるロケットを押す。

logsのタブに切り替わり結果が見れます。
Graphicsタブを押すとOptimizeされたdialanineが表示されていますよ。
本当に便利ですね。昔からコマンドラインになれていると別にGUI無くても計算さえできればいいやと思ってましが、FFEはかなり便利です。もう少しFFEに熟知したらまたメモします。

人気ブログランキング(クリックして応援してね)