2006年06月03日

BINDでタンパク質間相互作用を調べる

タンパク質間相互作用(PPI)は、転写、翻訳、複製、シグナル伝達など様々な細胞内の重要なプロセスを担っています。したがって、PPIに係わる膨大な研究成果をデータベース化することは、これまでに分かっている現象を単純に知るというだけではなく、新しい解釈、系統的な整理、知識化を導く可能性を秘めています。さらに創薬においても、標的タンパク質の選別、副作用の検討など創薬研究者に対する重要な情報源になっていると思います。

現在、多数のPPI Databaseが公開されています(以下のサイトをご参考に)。
http://www.blueprint.org/bind/bind_relateddatabases.html

今回は、PPIで有名なデータベースの1つであるBINDについてメモしたいと思います。私はBINDというと、どうしてもDNSサーバが真っ先に浮かんできてしまいます(笑)。

The Biomolecular Interaction Network Database (BIND)は現在、Commercial版とOpen Access版があります。
http://www.unleashedinformatics.com/index.php?pg=products&refer=bind
ここでは、Open Access版を利用したいと思います。

今回は、p53のPPIについて検索してみることにします。

1. Open AccessのBINDをクリックし、はじめて利用する場合は、ユーザ登録を、そうでない場合はログインする。

2. メイン画面上のSearch Boxにp53と入力し、GOボタンを押す。

3. p53のPPIリストが表示されるので、Mdm2とのPPIを示す"interaction 301661"をクリックする。
"interaction 301661"が表示されていなければ、Search Boxに"301661"と入力し、検索してもOKです。ちなみに、この数値はBIND Idです。
bind-n2.png

4. BIND id: 301661に関する情報が表示されるので、右側にある"Visualize using..."というリストボックスから"Interaction Network 3.5"を選択する。
すると、ソフトウェアのダウンロード(Java Web Start)がはじまる。

5. ダウンロードが終わり、ソフトウェアが立ち上がると以下の画面が表示される。
bind-n3.png
p53とMdm2が結合していますね。
BINDのおもしろいところは、"Function","Localization","Binding"に関連する情報を“絵”として表現しているところです。この“絵”の意味は右側に説明がありますので、瞬時にそのタンパク質の概要を知ることができます。

6. 最後に、Mdm2をダブルクリックする。
bind-n4.png
おお!Mdm2と相互作用するタンパク質がでてきました。
この操作を繰り返すことにより、PPIネットワークをサーフィンできるわけです。

この他にも様々な使い方があるようですので、興味のある方はお試しください。



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2006年05月31日

Tinker & Force Field Explorer

今回は、分子モデリングツールとして有名なTinkerとそのGUIでもあるForce Field Explorer(FFE)についてメモしたいと思います。

TinkerはJay William Ponder博士によって開発されている分子モデリングパッケージです。1990年頃より開発が始まっているようで、現時点でのソースコードのライン数は134,500、そして、その多くがFortranで書かれています。

分子モデリングソフトウェアの開発を行う場合、多くは、分子力場を使い、エネルギー最小化(EM)やMolecular Dynamics(MD)をプログラミングすることになると思います。EMやMD自体も相当に大変なのですが、その前に入力された構造に分子力場を適用するための多くの前処理が待っています。例えば、Bond,Angle,Torsionエネルギーを計算するためには、それぞれに対応するAtomとBondのリストが必要ですし、Atom Typeの決定もする必要があります。
また、この処理が不適切だと、舟形ベンゼン環(笑)など、とんでもない構造が生成されたりします。

私が学生の時に始めにつまずいたのは、EMやMDではなく、上に書いた前処理でした。そのときに役にたったのが、ケムインフォマティクスで学んだ種々のアルゴリズムとこのTinkerのソースコードだったのです。今になって思うのですが、Tinkerのソースコードは非常に分かりやすく、テクニックを学ぶ上で本当に勉強になったと思います。

さて、ここ最近、Tinkerに触れる機会がなかったのですが、久しぶりにチェックするとFFEとうGUIからTinkerを操作できるそうです。早速、テストしてみることにしました。

1.Tinkerの入手(ライセンスは各自確認してください)。
以下のサイトからInstallation Kit for Linux (53.4Mb)をDOWNLOAD。
http://dasher.wustl.edu/tinker/

2. 解凍
$ gunzip tinker-linux.sh.gz

3. インストール
$ su
# sh tinker-linux.sh
デフォルトでは/opt/tinkerにインストールされます。

4. パスを通す。
/opt/tinkerにパスを通す。

5. 実行
$ ffe

実行例:

1.分子の読み込み
(exampleの分子を使います)
$ cp /opt/tinker/example/dialanine.xyz .
$ ffe
[File]->[Open]->dialanine.xyzを選択。
分子力場はcharmm27を選択。

tinker1.png

2.分子表示形式の変更
[Display]->[Tube]
Java3Dを使っているので、結構きれいです。
tinker2.png

3. Optimizeの実行
[Modeling Commands]タブを選択。
その左下にあるコマンド選択用のリストボックスから[Optimize]を選択。
その他のパラメータはデフォルトを使用。
リストボックスの左にあるロケットを押す。
tinker3.png

logsのタブに切り替わり結果が見れます。
Graphicsタブを押すとOptimizeされたdialanineが表示されていますよ。

本当に便利ですね。昔からコマンドラインになれていると別にGUI無くても計算さえできればいいやと思ってましが、FFEはかなり便利です。もう少しFFEに熟知したらまたメモします。



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posted by わばのり at 08:32| Comment(0) | TrackBack(0) | その他ツール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月27日

2D-3Dコンバータ

化学構造の2次元情報から3次元構造の構築は、化学、創薬など様々な分野で利用されている重要な技術だと思います。多くの商用ソフトウェアが市販されていると思いますが、今回は、Web上で簡単に2D->3Dコンバートを試すことができるCORINAについてメモしたいと思います。

CORINAは、ケムインフォマティクスの分野で最も有名な研究者の一人であるGasteiger博士の研究グループで開発されたソフトウェアです。Gasteiger博士といえば、他にもGasteiger-Marsili法、CACTVS、WODCA、PETRAなどご存知のとおり、多くの著名な業績を有する研究者ですね。

それでは、CORINAについてメモしたいと思います。
1. 以下のCORINAのサイトにアクセスする。
http://www2.chemie.uni-erlangen.de/software/corina/free_struct.html

2. 構造入力
図左にあるJMEで直接構造を書いてもかまいませんが、今回は、JMEで書くにはちょっとしんどいキラル中心を9つもつ以下の分子を図右のOptionsに直接入力します。

入力構造:N1[C@@]23[C@@H]([C@H]4[C@]([C@@H]([C@@H]2[C@H](NC1=[NH2+])O)O[C@@]([C@H]3O)(O4)[O-])(O)CO)O

co3D-3s.png

3. 3次元化
上の画面で"Generate 3D Structure"ボタンを押すとアプレットが立ち上がり生成された3次元構造を見ることができます。

co3D-4s.png

おお!お見事!適切な3次元化だと思います。

このようなコンバータは、SBVSを行う研究現場では必須なツールだと思います。ただ初めから適切に3D化された化合物のライブラリがほしいなというニーズもあったらしく、ZINCという便利なサイトが公開されています。
http://blaster.docking.org/zinc/

ZINCは論文としてPublishされているので、3D構造の生成手法など読んで把握しておくといいと思います。
Irwin and Shoichet, J. Chem. Inf. Model. 2005;45(1):177-82

あと、いわゆるフリーソフトを用いても、一応(改良の余地があると思いますが)、2D-3Dコンバートできますので、後日メモしますね。


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posted by わばのり at 10:38| Comment(0) | TrackBack(0) | その他ツール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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